この本は、東日本大震災に関わるドキュメンタリー映画の役割を論じたものである。被災地においてどのように映画の撮影・制作・上映が行われたのか、その具体的プロセスを明らかにし、また芸術家と学者による対話の記録という形で、社会的事象としての映画が災害の記録と記録の共有にどのように寄与できるのかを明らかにした。映画制作を根拠づける制作者の問題意識が社会化されていく様が詳らかになっている。