漢族の中の特異な下位集団として知られるは、古代漢族の純粋な末裔、優秀な人材の輩出母体として喧伝されることも多い。だが、そうしたイメージは、主に客家出身の研究者自身の学術研究を通じ、近代以降に形成されたものである。本書は、客家特殊論の構築過程を検証するとともに、それへの批判として形成された近年の客家研究をも対象化し、エスニシティーに関する言説の構築・解体過程と学術研究との関わりを分析する。