西洋自身が西洋近代の問題の克服に努めはじめた現在、パンデミックや気候変動など越境的な課題が次々と到来する今日、地球上のすべての思想的営みは、複雑に絡み合いながら進展している。本書は、このような学的展望に立って、文明現象としての<朱子学>が、朝鮮・日本・琉球という周縁地域において文化借用され、遷移していく思想史を、ヨーロッパの宗教との平行現象や相互交渉なども視野に入れながら、総合的に考察した。