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川田順造  <運ぶヒト>の人類学 

 


ヒトはどうやってモノを運んだかというシンプルでかつ人類進化論的にも強力な問いに対しての民族誌事例をつかった探求した書。直立歩行でモノを運搬することは、人間生活、そして文明の形成の最も基礎にある領域である。著者のすごさは第一にそうした領域が存在することを見いだしたことである。第二にそれが身体技法を含む人類学的探求と密接に関わっていることを踏まえながら、人間の道具化、道具の人間化、道具の脱人間化という三つの概念から構成されることを主張したことである。ある意味では文化進化論的に三つの概念は説明できる。ただそれ以上に、道具をつかうという人間的行為の根源が身体にあることを改めて示した点は重要だと思う。ものづくりを考える上での思考の基盤を提供する。2014/10/19の朝日新聞で書評されており、それに示唆されて読み始め、川田人類学のすごさを改めて感じた。(岩波書店、2014)

 

2015年5月22日金曜日

 
 
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