東北大学Center for Northeast AsianStudies東北大学 東北アジア研究センター 言語マップ
東北アジア研究センターについて
センター概要
評価報告書
要覧
データ
スタッフ 研究活動 教育 出版物 学術交流 図書室 関連サイト
センター概要

  ● センター長挨拶
  ● 理念と目的
  ● 沿革


ber


センター長挨拶

東北アジア研究センター長 岡洋樹  東北アジア研究センターが創設されて17年になります。1981年10月、大学生だった私は、二年間の留学のためにモンゴル人民共和国(当時)の首都ウラーンバートルに降り立ちました。そこで見たものは、ソ連圏社会主義体制という別世界でした。モンゴルの人々は、社会主義の未来に対する強い自信に満ちあふれていました。1989年6月、私は北京の中央民族学院(現・大学)に滞在し、天安門事件を目の当たりにしました。あの大事件が、ソ連のゴルバチョフの中国訪問と重なったことは、その後の歴史を象徴する出来事だったように思えます。天安門の悲劇は、東北アジアが生まれる陣痛だったのかもしれません。その後も痛みは続きました。1993年夏にモンゴルを訪れた私は、そこに社会主義の廃墟を見出しました。経済の崩壊と極端な物資の不足、体制崩壊により人々が受けた心の傷など、同じことがロシアでも起こっていました。その後復興したモンゴルは日本との関係を急速に深め、世界でもっとも親日的な国の一つです。日本とロシアの関係も次第に深まりつつあることは、東北大学がロシア科学アカデミーや主要大学と学術交流協定を締結し、交流が進んでいることからも伺われます。20年前に私が留学したモンゴルは、とても遠い国でした。今我々は、毎年モンゴルや中国をビザなしで訪れ、現地の研究者仲間と学問を語ることができます。ここ五年間、私は東北アジア研究センターが実施した「日本アジア講座」でロシアのノボシビルスク大学を訪れてきました。北京から4時間半で到着できてしまうことに、自分の中の古い距離感との乖離を感ぜざるをえませんでした。私は、ますます色濃く浮かび上がる東北アジアを旅しているのです。
 ますます近くなる東北アジア、しかしそれは、東北アジアがもつ文化的多様性を消去してしまうものではありません。シベリアの瀟洒なヨーロッパ風の町並み、モンゴルの広大な草原で営まれる遊牧生活、活気に満ちた中国の大都会、大地に溶け込むかのように生きる中国の農民達。東北アジアの文化は、いまだに多様です。多様な文化が出会うところ、摩擦も生じます。しかしそのような多様性は、地域本来の属性だとも言えます。均質性ではなく、多様性に立脚した地域としての東北アジアの出現。それが我々が今直面しているできごとなのです。そしてそこから生じる課題を、地域の研究者や住民と共に考える環境を我々は手にしている。それはとても大事なことのように思われます。

東北アジア研究センター長 岡洋樹



理念と目的

 本センターは、東北アジアという地域理解の枠組みを確立し、普及させることを第一の目的としています。東北アジア研究センターが設立された1996年以後の17年間は、まさに東北アジアが地域枠組みとして実質化していった時代だったと言えます。中国の経済発展と日本・韓国などの結びつき、ロシア、モンゴルのアジア太平洋国家としての再定義と東アジアとの関係構築、そして中国とロシアを中心とする関係調整機構の出現など、今やロシアのシベリア・極東、中国、朝鮮半島、モンゴル及び日本から成る東北アジアは、冷戦時代とは比較にならないほど密接な関係をもっています。北アジア、東アジアといった既存の地域概念では、現今の情況を捉えることができなくなっているのです。しかしわが国では、未だに日中・日露・日韓などといった二国間関係の枠組みでの理解を克服できておらず、日本が東北アジアの一部としてあることも充分に認識されているとは言えないのが実情です。東北アジア地域概念の確立は、わが国にとって急務であると言えましょう。
 本センターは、東北アジアの地域社会と課題を共有しながら研究を進めていきます。2011年3月の東日本大震災は、地域からの要請が、最も鋭い形で学術研究に突きつけられた事例だったと言えるでしょう。しかし大規模な災害ほどではなくても、地域社会の学術研究への要請は、すでにさまざまな形で提示されています。そのような地域の要請は、地域社会との恒常的な絆の中ではじめて感知することができます。地域研究のニーズを、学術的動機だけではなく、地域社会の中に求めることが重要です。もはや「先進国」による一方的な異文化研究の時代ではないのです。 地域研究に求められるのは、実践性です。経済発展の中で、東北アジアは今急激な変化を経験しています。変化への戸惑いは、ときに深刻な亀裂を社会に走らせます。開発に伴う環境問題、民族の対立、グローバル化とそれへの反発、領土問題などなど、亀裂の露頭はじつに様々な形で現れます。そのような課題を、東北アジアの枠組みにおいて共有することが重要です。一方で東北アジア諸国・地方は、関係緊密化の中で、すでに多くのものを共有しています。地域の文化的な価値をどのように評価し、何を残し、何を変えなければならないのか。正負の遺産にどのように向き合うのか。それが東北アジア地域研究に求められている課題です。
 だから東北アジア研究センターは、地域の文化を、地域社会が遺すべき価値、すなわち文化遺産(Cultural heritage)として、地域の研究者、住民と共に考えていくことをめざします。地域を研究するということは、学術研究が地域の文化を操作・管理することではなく、地域住民が継承し、あるいは創出しようとする文化のあり方を、住民とともに考えていくことです。そのためには、文化的多様性に対する鋭敏な感性が不可欠です。グローバル化時代の今日、文化の多様性をどのように確保していくのかが、問われているのです。東北アジア研究センターのスタッフは、英語のみならず、中国語・ロシア語・韓国語・モンゴル語など、地域の多様な文化を支える言語を駆使して、地域とともに学術研究を実践していきます。
 地域研究への要請は、けっして地域住民の社会・文化の領域にとどまりません。地域の山河も、そこに住む人々が生を営む、人間的な意味づけを与えられた「環境」としてあります。ですから「自然環境」の研究も、地域研究の対象にほかなりません。地域研究において学際性が要求されるのは、学問が細分化されているからではなく、地域「環境」の多様性とそれに与えられた意味の包括性に起因するのです。
 だから東北アジア研究センターは、文系・理系のさまざまな研究分野の連携によって、地域を見つめる多様な視座を確保することをめざします。我々は、高度に専門化し、分厚い蓄積をもつ諸学の成果を有しています。地域研究の学際性とは、専門研究の到達点を安易に否定することではなく、その蓄積を地域理解のために動員し、活用することです。文系・理系の研究者の連携を確保し、諸学がそれぞれの分野で東北アジアを考えることで、地域のより多様な課題を視野に収めることが可能となります。
 また地域研究者にとって、地域の研究者達の研究成果と向き合いことなくして、研究は成り立ちません。我々が彼等を研究するように、彼等も我々を研究しています。我々には、東北アジアの研究者コミュニティーの一員として、そのような双方向性をもった東北アジア地域研究を進めていくことが求められています。 このような東北アジア研究センターのポリシーは、「門戸開放」「実学尊重」、そして「研究第一主義」を校是とする東北大学の精神を体現するものと考えています。地域研究は、まさにそのような学知としてあります。
 我々は、このような考えに立って、東北アジアという地域の理解を紡ぎ出したいと考えています。


沿革

 20世紀末の急激な冷戦構造の解体、経済・情報のグローバル化を背景として、シベリアや中国・朝鮮半島など日本に隣接する地域との相互理解と協力、共生することの重要性が広く一般に認識されるようになった。東北大学はシベリアの資源・科学技術等の重要性に着目し、1991年以来全6回のシベリア訪問団を組織し、1992年にはロシア(当時、ソ連)科学アカデミー・シベリア支部との間で大学間学術交流協定を締結した。
 1996年5月東北大学は、冷戦構造の崩壊以降の日本が隣接する広域世界のダイナミズムを理解することの重要性に鑑み、大学付属の学内教育研究共同施設として東北アジア研究センターを発足させた。北アジア・東アジア・日本を包摂する東北アジアという新たな地域概念を提示し、その歴史−文化・民族−国家・生態−環境に関わる諸問題を人文社会科学と自然科学との連携によって融合的、総合的に研究を推進するのが設置目的であった。
 東北アジア研究センターは、東北大学初の文系を主とする研究所型組織(部局)である。その組織構成は、1962年以来の文学部附属日本文化研究施設を母体として、文学部・理学部・工学部・言語文化部との協力の下に整備された。発足当初、所属する教員は東北大学内の3つのキャンパスに分散していたが、1999年以降、全研究施設が川内キャンパス内におかれている。 発足時の組織機構は、3基幹研究部門(地域交流、地域形成、地域環境)、2客員研究部門(文化・社会経済政策、資源・環境評価)、教官26名・客員5名(うち2人が外国人)で構成された。その特徴は、部門内に文理双方の分野を含む研究体制にあった。2004年4月の国立大学の法人化を経て、2007年4月には研究体制の抜本的な改革を行い、基礎研究部門(教員が所属する9研究分野)、プロジェクト研究部門(現在、9研究ユニット)、研究支援部門(2分野、1室)という体制となった。更に2009年4月にコラボレーション・オフィスを開設し、研究企画、情報発信機能の充実と共に人文社会系他部局との連携を推進する体制を整えた。これにより、個人ベースの基礎的研究を着実にすすめつつ、多くの研究者による総合的課題や、実践的・応用的な研究課題にも即時的かつ柔軟に対応できる体制とした。
 本センターは、東北アジアを対象とする地域研究機関として、外国人研究員(客員教授)制度や学術交流協定などを通して関係各国・地域の研究者との交流を広く進めている。1998年5月には東北大学初の海外事務所として、シベリア最大の都市ノボシビルスクに隣接する研究学園都市アカデムゴロドクにシベリア連絡事務所を開設した。その後、共同ラボラトリーと名称を変更し、ロシア科学アカデミー・シベリア支部との共同研究推進を目指すと共に、東北大学が同所に設置した東北大学ロシア代表事務所・シベリア支部との連携をとりながら、我が国の大学とロシアとの交流にも協力体制を築いてきた。
 流動組織としてのプロジェクト研究部門に加え「共同研究」制度を設け、複数の教員からなる目的を絞り込んだ研究組織の立上げを奨励するとともに、時代に即した学問領域を広げるため、学内にとどまらず国内外の関係する研究者とのネットワーク構築を支援する各種制度を発足させている。研究活動の成果は、1997年に創刊された査読雑誌「東北アジア研究」をはじめとしてその他の学術雑誌・学術書籍で発表されている。それ以外に、1998年以降は「Northeast Asian Studies Series」、2001年以降には「東北アジア研究センター叢書」「東北アジア研究シリーズ」などの本センター独自の出版物も用意し、研究成果の情報発信を促している。更に東北大学出版会と協力しながら「東北アジア読本」としてセンターでの研究活動をシリーズとして出版することで、一般市民の方により見ていただきやすい仕組みを作ることとした。
 大型資金プロジェクトとしては、文部科学省科学研究費補助金・特定領域研究として「東アジア出版文化の研究」(2000〜2005年度)及び「火山爆発にともなう地表現象に対する新研究手法の開発と適用」(2002〜2006年度)、同特別推進研究「清朝宮廷演劇文化の研究」(2008〜2012年度)、さらに科学技術振興機構・戦略的創造研究推進事業「地雷探知用ウエアラブル・SAR-GPRの開発」(2002〜2006年度)などを実施してきた。
 これらの研究成果は、学術面のみならず社会貢献にも関わっている。電磁波研究を基礎としたモンゴルのウランバートルの地下水計測や紛争地域で必要な人道的地雷探査技術の開発、国内外の火山噴火に対する観測・研究などは国際貢献の一例である。また出版文化研究を通じての東アジアでの資料保存事業を実施してきた。
 一方、地域の人間と社会を災害から守るための実践的防災学推進をめざして本センターを中核に、東北大学の広い研究分野の研究者が目的を一つとする「防災科学研究拠点グループ」を結成した。従来型の理系的な防災技術に留まらず、住民に対する防災意識の啓蒙や災害時の資料保全への対応など文系的なアプローチを含めた幅広い地域活動を展開することに特色を持っている。2011年3月の東日本大震災では、本グループが東北大学の叡智を結集し地域の復旧・復興への具体的な活動を行うだけでなく、これまで蓄積してきた災害科学を東北大学の重要な研究の柱の一つとするための最大限の努力を続けている。これらはセンターの幅広い研究活動成果の社会還元ととらえている。
 さらに2004年に発足した地域研究を推進する大学・研究機関・NGO等の全国組織体「地域研究コンソーシアム」設立に関わるとともに、2005年には「北東アジア研究交流ネットワーク」(当該地域に関わる研究機関・各種シンクタンクなどの交流組織)の設立にも貢献した。これらを通して他大学・研究教育機関、さらに民間組織などとの連携を進めている。


このページのTOPへこのページのTOPへ
ニューズレター
アクセス
お問い合わせ
サイトマップ
TOPへ戻る
side_ber
 東北大学
 東北アジア研究センター

 〒980-8576
 宮城県仙台市青葉区川内41番地
 TEL(022)795-6009, 3707
 FAX(022)795-6010
 http://www.cneas.tohoku.ac.jp

Copyright 2007 Center for Northeast Asian Studies. All Right Reserved. bg
英語ページへ 中国語版 Russian