自然科学の観点からみれば、シベリアは極寒の気候を伴う脆弱な生態系であるとされています。しかし社会科学はむしろそこに、歴史的にも政治的にも独自な多民族的な社会構造と特異な都市‐農村インフラを備えた空間を見いだし、研究の対象としてきました。
 「シベリアにおける人類生態と社会技術の相互作用研究ユニット」の目的は、食糧生産、住居、水道設備、輸送システムなど関わる伝統的な文化、および地域に特有な形で近代化された技術システムに着目しながら、ミクロ環境と人間の社会文化的適応との相互作用を明らかにすることにあります。
 そのために、ロシアをはじめとする内外の研究機関や研究者とも連携をとりながら、歴史的背景およびシベリア以外の極北圏/北方圏との地域比較もふまえ、人類生態と社会的技術の関係の今日的プロセスを明らかにします。それとともに、現在ロシア政府によって進められているシベリアでのエネルギー開発が、人間環境にどのような影響を与えているのかについても分析を進めます。

 これまでの活動として、2009年には国内外の研究機関との間でMOUを締結、予備調査の実施や国際会議の開催を通じて研究基盤を整備し研究体制を確立しました。
 さらに2010年からは、「氷融洪水とその社会対応から見る極北圏地域社会の比較研究」および「展示を通した北方人類学における社会還元の可能性の探求」の二つの共同研究を立ち上げ、より具体的な研究活動へと軸を移すとともに、成果の還元について、展示などを取り入れた方法を検討し、実践していく予定です。
          
                        (最終更新 2012年10月1日)







contents