百姓一揆の訴状や地域間争論などにおいて提出された訴状が、往来物(江戸時代における読み書き教材)となり各地に流布している。訴状は当時、目安とも呼ばれていたことから、これらの一群の往来物を、本書では「目安往来物」と称している。このような往来物がなぜ成立することとなったのか、近世社会の構造とも関連づけながら、このことについて考察したのが本書である。