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石渡 明ページ伝言板(Q&A)

 

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2013/10/07 更新


 このページへのご訪問、ありがとうございます。地質学岩石学,特にオフィオライトに関して,または石渡の教育・研究についての連絡やご意見,ご感想,ご質問などを, メールで石渡までお寄せ下さい.その中から,特に興味深い問答(Q&A)を,送信者本人のご了解を得た上で,このページに掲載いたします.メールでのお問い合わせに当たっては,必ずお名前 ,年令,性別,住所,学校(会社)名,学年(職名)などの情報を明記して下さい。 原則として匿名のお問い合わせにはお答えしません.本ページへの掲載の可否は石渡が決定し,掲載に当たっては公開に適するように原文を編集させていただくことがあります.石渡へのメールは次のアドレスをクリックしてご利用下さい.
 

geoishw@cneas.tohoku.ac.jp


目次

柱状節理の写真集について(2009年3月)
中禅寺湖の白くて丸い石について(2008年11月から12月)


(並べ方は日付逆順 新しいものから古いものへ)

■柱状節理の写真集について(2009年3月)

 ●【2009310日 山本治之さんから石渡へ】

 お返事ありがとうございました。早速、日本火山学会にもお願いし、引用させていただきます。 色々と親切にありがとうございました。写真集が出来上がるのは、6月ごろになると思いますが、出来上がれば、送らせていただきます。 全く素人の私が、情緒的に撮った写真なので、専門家の先生には「なんやこれは!」と言われそうですが。 先生の今後のますますの活躍を祈念いたします。ほんとうにありがとうございました。

 ●【200939日 石渡から山本治之さんへ】

 ご連絡ありがとうございます.私が開設しておりました金沢大学のホームページにおける回答文をご高著に引用される件は,回答者氏名(私),当時の所属(金沢大学),回答年月日(わからなければ年だけでも結構です),金沢大学の私の教員ホームページの伝言板での回答であること,を明記して引用していただけば差し支えございません.なお,日本火山学会ホームページのQ&Aにおきましても,柱状節理に関する質問に回答しておりますので,下記アドレスにてご参照下さい.これも,上記のように回答者氏名(私)と出所(日本火山学会Q&A)を明示していただけば,私としましては,引用していただいて構いません.ただし,これを引用される場合は,日本火山学会にも許可を得る必要があると思います.事務局に問い合わせれば,多分すぐに許可が得られると思います.
http://earth.s.kanazawa-u.ac.jp/ishiwata/kazanqa.htm#column
 写真展を開催され,写真集も刊行予定とのこと,すばらしいですね.少しでもお役に立つことができて嬉しく思います.今後もお元気でご活躍下さい.

●【200938日 山本治之さんから石渡へ】

 突然のメールで失礼します。
 私、以前先生が金沢大学に在職されているとき、ホームページを開設されておりましたが、その時、「柱状節理」について質問させていただいた者です。当時、早期定年退職をして京都造形芸術大学の写真コースで学んでいましたが、柱状節理をテーマに写しており、現在は無事卒業して、写真家として活動しております。
 私の質問はもうすでに閉鎖されていますが、日本全国の柱状節理がある場所が掲載された本を紹介してほしいとの質問でした。先生から回答いただいたのは、そんな本はないが「○○県の地理(地学)」などを調べたらどうかとの回答をいただき、調べて、全国70か所を超える柱状節理の写真を写してきました。今回それらをまとめて、大阪、福岡、名古屋の富士フイルムフォトサロンで写真展を今年度に行う予定です。それに合わせて、写真集を発行したいと考えています。「柱状節理」と言ってもなかなか理解してもらえないので、写真集の冒頭に柱状節理の解説をしたいと考えているのですが、その時に先生のホームページのQandAで♯232の回答の一部を引用させていたたきたいと考えております。誠に厚かましいお願いと思いますが、よろしくお願い致します。

■中禅寺湖の白くて丸い石について(2008年11月から12月)

●【2008年12月7日 栃木県のTさんから石渡へ】

 「丸い石」について詳しい観察結果をご報告いただきありがとうございます。先生のご説明と添付された写真から判断して、私も人工物である可能性が高いという結果に納得いたしました。これ以上の調査は望みませんのでどうぞ石は廃棄して下さい。
 先生には余計なお時間を取らせてしまい誠に申し訳ありません。結果は残念には思いますが、先生のご丁寧な解説により岩石についてとても良い勉強となりました。深く御礼申し上げます。今後ともよろしくお願い致します。

●【2008年12月7日 石渡から栃木県のTさんへ】

 お送りいただいた中禅寺湖の「白玉石」について、薄片を作成しました.その偏光顕微鏡写真3枚を添付します.12は中倍率の同視野の写真で、1は単ニコル、2は直交ニコルの状態で撮影したものです(横幅1mm).3は高倍率の単ニルの写真です(横幅0.25mm).直交ニコルの写真では、結晶は明るく写りますが、ガラスは真っ黒になります.単ニコルの写真は通常の光で見た状態と大差ありません. 
 所見としては、0.020.03mm大の角ばった形や丸い形の石英粒子が全体の10%程度を占め、それ以外の90%は不均質なガラスです.写真3の中央に見られるように、石英粒子には融食形を呈するものが多く見られます.このような組織は陶磁器によく見られます.石英粒子の大きさが天然物にしてはよく揃い過ぎており、細かく砕いた石英粒子を圧密して高温の炉の中で焼結したものである可能性が高いと思います.(つまり、残念ながら天然物である可能性は低いと思います).陶磁器では、石英や長石などを含む粘土を焼結するので、コランダムやサフィリンなどの特徴的な鉱物が結晶するのですが、この試料ではほぼ純粋な石英の粉末を焼結したために、そのような鉱物ができていないものと思われます.X線粉末法で調べれば、トリディマイトやクリストバライトといった高温で安定なシリカ鉱物が形成されている可能性はあります.
  ということで、これは何らかの目的で作られた人工物であろうと思われます.考えられる用途としては、前回もお話ししたボールミルの玉の他に、焼き物をつくる炉の中に敷く「砂利」、浄水場などの濾材、建築上の美的要請または宗教的な要求による庭園などの純白の敷石(人工的な玉砂利)、などが考えられます. 
 今のところ、私の所見は上のようなものです.どうも天然物でない可能性が大きくなったのは残念です.

●【2008年12月3日 栃木県のTさんから石渡へ】 

 さっそく「白玉石」のサンプルについての所見を頂きありがとうございました。やはり実物を見ていただけると色々と興味深いことが分かるのですね。とりあえず「ボールミルの玉」の可能性は低そうなので安堵しております。恥ずかしながらメノウやオパールなどがどれもシリカの沈殿物で形成されることを初めて知りました。関連文献まで載せて頂きありがとうございます。この機に少し勉強しようかと思います。薄片観察の結果が楽しみですが、急ぐものではありませんので十分にお時間がある時に見ていただけると幸いです。

●【2008年12月2日 石渡から栃木県のTさんへ】

 まだ薄片は作っておりませんが、比重を測定したところ2.3でした.ナイフで傷がつかないほど硬く、特に斑晶や生物の構造も見られないので、恐らく凝灰岩や珪藻泥岩ではなく、温泉によるシリカ(SiO2)の沈殿物であろうと思われます.人工物としては、ちょうどこのくらいの大きさのシリカの玉を、岩石や鉱物を細かい粉にするための粉砕機(ボールミル)の中に多数封入するボールとして使います.シリカの玉は硬いので、シリカの玉と一緒に入れて振動させると岩石や鉱物が砕かれてどんどん細かくなります.だれかがこの玉を湖に捨てたという可能性もないわけではありませんが、お送りいただいた玉は形がかなりイビツなので(ボールミルの玉は使用後もほぼ真球形)、恐らく人工物ではなく、天然物だと思います.温泉や湖沼、内海などでシリカが沈殿し、メノウ、オパール、カルセドニー、チャート(珪岩)などが形成されることについては、多数の報告があります.富山市科学博物館の赤羽久忠さんや福井市自然史博物館の梅田美由紀さんが特に詳しいので、聞いてみたらよいと思います.今月中くらいを目途に、薄片を作って顕微鏡で観察してみるつもりです.
文献
赤羽久忠・後藤道治・山本茂 1989 富山県立山温泉新湯産の?状珪石(いわゆる玉滴石)および蛋白石.地球科学、43, 176-179.
Umeda, M. (2003) Precipitation of silica and formation of chert-mudstone-peat association in Miocene coastal environments at the opening of the Sea of Japan. Sedimentary Geology, 161, 249-268.

●【2008年11月23日 石渡から栃木県のTさんへ】

 「丸い石」についてのご連絡ありがとうございます.あのHPに掲載してある石は,私も中村先生も現地の産状を自ら確かめたわけではないので,産出地点の様子は想像に過ぎません.今回写真をお送りいただいた白くて丸い石は,比重が小さく(インドネシアの礬土頁岩は比重3.4, 今回のものは比重2.2),表面に薄い黄色から褐色の汚れがあって,層理や葉理(縞模様)はないようです.場所が中善寺湖ということも考慮に入れて,これらの条件をすべて満足する岩石として考えられるのは,白色細粒の流紋岩質〜デイサイト質の凝灰岩や溶岩,あるいは珪藻頁岩または珪藻土などです.もしこれらのうちの1つであるとすると,岩石薄片を作って観察すれば,すぐにどれであるかわかるはずです.凝灰岩は三日月型の透明な火山ガラスの集まりですし,溶岩は柱状の長石の細かな結晶を沢山含みますし,珪藻はこの生物独特の細胞殻の構造を示します.宅急便または郵便小包で現物を1つお送りいただければ,薄片を作成して観察し,結果をお知らせします.もし珪藻が入っている岩石なら,薄片を作らなくても,そのまま表面を顕微鏡(または高倍率のルーペ)で観察すれば,殻の構造が見えると思います.中禅寺湖は男体山のふもとにあり,男体火山は今年になって活火山であることが明らかになりました.この火山の最近数万年間の活動はデイサイト質マグマの激しい爆発的噴火なので,この噴火の噴出物が堆積した白色凝灰岩が,中禅寺湖に注ぐ川の上流に存在することは十分に考えられます.また,火山地帯の湖にはよく珪藻が繁殖するので,川の上流のどこかに過去の湖で堆積した珪藻土や珪藻泥岩の地層が露出している可能性もあります.あるいは,火山体の下のもっと古い地層にそういう岩石が含まれているのかもしれません.現地の地質図を調べてみれば,ある程度の見当はつくと思います.

●【2008年11月21日 栃木県のTさんから石渡へ】

 初めまして、先生の過去のホームページに白玉石(礬土頁岩)の解説があるのを拝見してメールを差し上げた次第です。
http://earth.s.kanazawa-u.ac.jp/ishiwata/whitebal.htm
先生が鑑定された白玉石と似た形状の石が日光の中禅寺湖で見つかりました。直径は約3cm、比重は2.2g/cm^3 前後です(いい加減な測定で申し訳ありません)。形は完全な球ではなく、すこし歪んでおります。発見場所は中禅寺湖の西岸、菖蒲ヶ浜近くの浅い湖底(水深1m)です。発見したのは私ではなく、日光植物園の技術職員の息子さん(小学生)なので、詳しい状況は不明なのですが湖底に同じような白い丸い石がたくさんあったそうです。私に鑑定を頼まれたのですが、私は岩石については全くの素人なので困っております。近隣の日光自然史博物館に問い合わせてもこんな石は見たことがないとの返答が返ってきました。人工物である可能性もあるのですが、先生のホームページを拝見したところ自然石である可能性も捨てきれません。中禅寺湖には波があること、発見場所の近くに湖に流れ込む沢があることを考えますと石同士が擦れあって形成されたことが想像されます。自然状態でこのような丸い石が生成されることはよくあるのでしょうか?それとも珍しい石と考えてもよろしいのでしょうか?お忙しいところ、このような無知な質問で申し訳ありませんが、もしよろしければ先生の御見解をお聞きできればと思います。必要でしたら石をお送りすることも可能です(破砕して頂いて構いません)。よろしくお願いいたします。


 

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2009/02/11 作成 2013/10/07 更新