言語資料検索システム
ここに公開するモンゴル系諸言語および満洲語の言語資料と、検索システムは、東北大学
東北アジア研究センターのプロジェクト研究「東北アジア言語文化遺産研究ユニット」2013-
2014年度の研究、および東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の情報資源利用
研究センター(Information Research Center 略称 IRC)における町田和彦教授との共同研
究「モンゴル語文献資料の電子化利用の研究」(2012-2014年度)、および「モンゴル文語・
満洲文語辞書の電子化利用に関する研究」(2015-2016年度)の研究成果によるものです。
⇒ 検索ページへ
検索システムの特徴
- 対象言語は、主にモンゴル語と満洲語です。それ以外にもモンゴル語族に属するダグル
語、モングォル(土族)語、ドゥンシャン語も扱っています。
- 検索可能な文字は、伝統的モンゴル文字、満洲文字、トド文字、キリル式モンゴル文字、
中国漢字(簡体字、繁体字)、日本語かな漢字、ローマ字です。ローマ字には、モンゴル文
字、満洲文字等のローマ字転写、中国語ピンイン(拼音)方式のダグル語、モングォル(土
族)語等の表記も含まれます。これらの文字コードはすべてUnicodeに準拠しています。
- 検索システムの種類としては、テキストデータを検索する「全文検索システム」と、辞書
データを検索する「辞書検索システム」の2種があります。いずれの検索システムでも、
単語の「前方一致」「後方一致」「完全一致」「部分一致」による検索ができます。
- 複数の辞書を同時に検索することができます。ひとつの辞書グループに登録されている
複数の辞書の中から任意の辞書を選択して、それらに対して「串刺し検索」を行うことが
できます。
- 検索言語と文字の入力モード(IME)機能を備えています。伝統的モンゴル語、満洲語、
キリル式モンゴル語の検索では、キーボードからの入力が自動的にそれらの文字に変換
されます。それらの文字を正しく表示するために、フォントを提供しています。
- 原本の画像を表示する機能があります。検索でヒットした文字列が原本ではどのように
表記されているか、原本の画像を表示させて参照することができます。
検索システムの概要
本検索システムには、テキストデータを検索する全文検索システム(K-Search)
と、辞書データを検索する辞書検索システム(K-Dic)の2種類があります。
- 全文検索システム(K-Search)は、テキスト(文章)を対象として検索を行います。
全テキスト(文章)の中からターゲットとする文字列を検索して、それが含まれるすべて
の行を表示します。
- 辞書検索システム(K-Dic)は、「辞書データ」を対象として検索を行います。「辞書
データ」は、見出し語と意味(語釈)、あるいは見出し語と(外国語の)訳語というように、
見出し語とそれ以外の情報を分けた形式のデータです。「辞書検索システム(K-Dic)」
は「見出し語」を検索することを優先して設計されています。
辞書検索システム(K-Dic)は、基本的には、見出し語がローマ字で表記されている
辞書データを対象としています。見出し語がローマ字(あるいはローマ字転写)であれ
ば、どのような言語にも対応できる「汎用検索システム」です。
これに対して見出し語がローマ字以外の文字で表記されている辞書データを対象にし
た言語別検索システムを準備しました。これは、「汎用検索システム」をそれぞれの
言語に応用したもので、見出し語の表記が伝統的モンゴル文字、トド文字、満洲文字、
キリル式モンゴル文字、日本語(ひらがな、カタカナ)である辞書を対象にしています。
言語別検索システムは「汎用検索システム」の機能に加えて検索語入力窓にそれ
ぞれの言語(文字)の入力モード(IME)機能などが追加されています。
言語別検索システムには、次の辞書グループがあります:
- Mongolian Dic: 見出し語が「伝統的モンゴル文字」の辞書
- Todo Dic: 見出し語が「トド文字」の辞書
- Manchu Dic: 見出し語が「満洲文字」の辞書
- Cyrillic Dic: 見出し語が「キリル文字」の辞書
- Japanese-Mongolian: 見出し語が「かな(カナ)」の辞書
それぞれの辞書グループの検索窓では、キーボードからの入力は自動的に見出し語と
同じ文字種に変換されます。
推奨環境・制限
本検索システムを使用する際の推奨環境は、Windows7以降、ブラウザは Firefox もしく
はInterneteExplorer9以降です。それ以外のブラウザでは、伝統的モンゴル文字の表示
がうまくいかない(文字がうまく繋がらない、字形が崩れるなどの)場合があります。
伝統的モンゴル文字、満洲文字、トド文字、およびそれらのローマ字転写表記を表示す
るために次のフォントを提供しています。
MongolianUniversalWhite(伝統的モンゴル文字、トド文字、満洲文字表示用)
BitheGoth(満洲語ローマ字転写表示用)
Moukan(「蒙漢詞典」用モンゴル語ローマ字転写表示用)
SetuonGoth12(モンゴル文語ローマ字転写表示用)
Todo_rom(トド文字ローマ字転写表示用)
これらのフォントをダウンロードして、お使いのパソコンにインストールして下さい。
■共通仕様
「全文検索システム(K-Search)」および「辞書検索システム(K-Dic)」
は、次の
ような共通の仕様で構成されています。
- 検索語入力窓

・入力: 検索語入力窓にキーボードから検索したい文字列を入力します。
・履歴: 検索語入力窓に入力した文字列は履歴として保存されます(最大30件)。
検索語入力窓の左端の▼ボタンをクリックすると、履歴が表示され、それら
を検索に再利用することができます。
履歴の最下行のCLEARをクリックすると履歴が消去されます。
・検索実行: 検索文字列を入力して、虫眼鏡ボタンをクリックします(Enterキーを
押しても同じ)
・入力窓の文字列をクリア: ゴミ箱ボタンをクリックします(Escキーを押しても同じ)
- 辞書・文献名

・辞書・文献名が色付きの背景で表示されます。
・辞書・文献名の先頭のチェックボックスにチェックを入れると検索対象になります。
チェックがないと検索対象にはなりません。
・全部選択ボタン: クリックすると辞書・文献がすべて選択されます。
- 検索方法

「全文検索システム(K-Search)」ではテキストの中の単語を、「辞書検索システム
(K-Dic)」では見出し語を「前方一致」「完全一致」「後方一致」「部分一致」で検索
します。それぞれのボタンで検索方法を選択します(デフォルトは「前方一致」)。
- 検索結果の表示
・検索がヒットしない場合は NotFound!と表示されます。
・検索結果は、行ごとに灰色の線で区切られて表示されます。
・行の左端の色は「辞書・文献名」の色に対応しています。
・ヒットした文字列は赤色で表示されます。
・ヒットした件数はゴミ箱ボタンの右に表示されます。
- 画面表示件数

・検索結果を何件ずつ表示するか、メニューから選択することができます。
右端の30行(デフォルト)とあるメニューから、検索結果を一度に表示する件数を10、
20、30、40、50行の中から選択することができます。
- 辞書グループ

複数の辞書グループが登録されている場合、それらをメニューから選択することが
できます。
- 画像表示
・検索結果の右端の欄にページの表示がある場合:ページの数字が青色で表示され
ていれば、画像を利用することができます。青色の数字をクリックすると画像表示窓
が開いて、そのページの画像が表示されます。
・画像の任意の位置にカーソルを置いて、マウスの左ボタンをクリックしてカーソルを
少し移動すると、画像が拡大表示されます。さらにマウスのホイールを前後に回すと
画像が拡大、縮小表示されます。
■K-Search(full-text)
基本的な使い方は、上段の「共通仕様」を参照して下さい。
以下は、「全文検索システム(K-Search)」に独自の仕様です。
- 検索モード(検索窓の入力モード)

検索語入力窓(検索窓)の上部に入力する文字種を選択するボタンがあります。
デフォルトでは「○Roman」が選択されていますが、これは「ローマ字」(ローマ字転写)を
入力する場合に使います。
その他の検索モードは次のものです。
○Mongol: 伝統的モンゴル文字(「Mongol配列」)
○Manchu: 満洲文字(「Manchu配列」)
○монгол: キリル文字(「Монгол配列」)
○Todo: トド文字(「Todo配列」)
これらを選択するとキーボードからの入力が自動的にそれぞれの文字に変換されます。
キーボードのキーと、入力される文字の対応は「Help▼」のメニューにあります。

「Монгол 配列」はキリル文字入力モード
「Mongol 配列」は伝統的モンゴル文字入力モード
「Manchu 配列」は満洲文字入力モード
「Todo 配列」はトド文字入力モード
それぞれにおけるキーと文字の対応です。
- 検索方法
検索方法は、次の4種類です:「前方一致」「完全一致」「後方一致」「部分一致」(デフォ
ルトは「前方一致」)これらは、テキストの中の単語(スペースで区切られた文字列)に適
用されます。
・ローマ字、キリル文字で検索する場合、デフォルトでは大文字/小文字の違いを無視
します。大文字と小文字を区別して検索する場合には、「大/小文字区別」にチェックし
て下さい。

・「部分一致」の検索で、「正規表現」にチェックすると、正規表現を使った検索をするこ
とができます。
■漢字音訳資料
明朝時代の初期(14世紀末)に、漢字で表記されたモンゴル語資料です。
検索語の入力と、検索結果の表示にフォント「SetuonGoth12」を使います。
検索語入力窓では、ローマ字転写のフォント表示になります。
キーボードのキーとローマ字転写との関係は次のようになっています。
キーボードのキー |
c |
j |
O(大文字) |
U(大文字) |
S(大文字) |
ローマ字転写 |
č |
ǰ |
ö |
ü |
š |
フォントがインストールされていないと、検索語も結果表示もキーボードに対応したアル
ファベットがそのまま表示されます。
なお、ここでは、固有名詞の先頭に大文字は使わず、「%」(パーセント)の記号を付している
ので、固有名詞を検索する際には先頭に「%」(パーセント)の記号を付ける必要があります。
例:%qasar, %ong_qan, %dobun_mergen, %altai, %tu'ula 等々。
- 元朝秘史
四部叢刊本『元朝秘史』に基づき、漢字表記モンゴル語、そのローマ字転写、それに対
する漢語の逐語訳(傍訳)を行ごとに並べたものです。ローマ字転写は、Ligeti をもとに、
次のものによっています。栗林均・確精扎布『「元朝秘史」モンゴル語全単語・語尾索引』
(東北アジア研究センター,2001);栗林均『「元朝秘史」モンゴル語漢字音訳・傍訳漢語
対照語彙』(東北アジア研究センター、2009)。
検索結果で表示される左端の数字は、「巻:丁:行」を表します。
- 華夷訳語
洪武15年(1389年)刊の『華夷訳語』(いわゆる甲種本)に基づき、漢字表記モンゴル語、
そのローマ字転写、それに対する漢語訳を行ごとに並べています。ローマ字転写は、
Ligeti をもとに、次のものによっています。栗林均『「華夷訳語」(甲種本)モンゴル語
全単語・語尾索引』(東北アジア研究センター,2003)
検索結果で表示される左端の数字は「巻:丁、表(a)裏(b)、行数」を表しています。
■モンゴル文語資料
モンゴル文語の資料を登録しています。
検索語の入力と、検索結果の表示にフォント「SetuonGoth12」を使います。
検索語入力窓では、ローマ字転写のフォント表示になります。
キーボードのキーとローマ字転写との関係は次のようになっています。
一部のローマ字転写の文字とキーボードのキーとの関係:
キーボードのキー |
c |
j |
G |
O(大文字) |
U(大文字) |
S(大文字) |
ローマ字転写 |
č |
ǰ |
γ |
ö |
ü |
š |
フォントがインストールされていないと、検索語も結果表示もキーボードに対応したアル
ファベットがそのまま表示されます。
- 満蒙文鑑
康煕56年(1717年)の序をもつ満洲語とモンゴル語対訳の『御製満蒙清文鑑』に基づき、
モンゴル語の見出し語と語釈、満洲語の見出し語と語釈を対照する形で登録しました。
- 満洲実録
乾隆46年(1781年)に編纂された満洲語・漢語・モンゴル語対訳の『満洲実録』による
モンゴル語のローマ字転写です。
検索結果で表示される左端の数字は「巻-頁:行」を表します。
- 孝経
元代の版本と推定される漢語・モンゴル語対訳『孝経』のモンゴル語ローマ字転写です。
検索結果で表示される左端の数字と記号は「章:丁、表(a)裏(b)、行数」です。
■満洲語資料
満洲文語の資料を登録しています。
検索語の入力と、検索結果の表示にフォント「BitheGoth」を使います。
検索語入力窓では、ローマ字転写のフォント表示になります。
キーボードのキーとローマ字転写との関係は次のようになっています。
一部のローマ字転写の文字とキーボードのキーとの関係:
キーボードのキー |
@ |
S(大文字) |
ローマ字転写 |
ū |
š |
フォントがインストールされていないと、検索語も結果表示もキーボードに対応したアル
ファベットがそのまま表示されます。
- 清文啓蒙
神戸市外国語大学の竹越孝先生が作成されたデータです。満洲語のローマ字転写、
日本語訳、漢語翻刻を登録しました。
竹越孝『兼滿漢語滿洲套話清文啓蒙―翻字・翻訳・索引―』(神戸市外国語大学研究
叢書49、神戸市外国語大学外国学研究所、2011)には、テキストに漢字のローマ字転
写が付されているほか、解題と満洲語語彙索引が収められています。
- 尼山薩満
満洲族の口承文芸「nišan saman i bithe(ニシャン・サマンの書)」に基づき、満洲語
のローマ字転写と日本語訳を登録しています。日本語訳は次のものに依っています。
河内良弘「ニシャン・サマン傳 譯注」『京都大学文学部研究紀要』26、1987、141-
230頁
- 満洲実録
乾隆46年(1781年)に編纂された満洲語・漢語・モンゴル語対訳の『満洲実録』の満洲
語のローマ字転写です。検索結果で表示される左端の数字は「巻ー頁:行」を表します。
- 老乞大
清の乾隆30年(1765年)刊の『清語老乞大』に基づき、満洲語のローマ字転写と日本
語訳
を登録しました。日本語訳は次のものを参考にしました。
津曲敏郎「清語老乞大の研究─満州語研究のための一資料(1)」『札幌商科大学・
札幌短期大学論集(人文編)』21、1977、211-248頁。
津曲敏郎「清語老乞大の研究─満州語研究のための一資料(2)」『札幌商科大学・
札幌短期大学論集(人文編)』22、1978、161-193頁。
- 一百条
清朝時代に木版で出版された満洲語の学習書「tanggū meyen(一百条)」に基づき、
満洲語のローマ字転写と日本語訳を対象の形で登録しました。日本語訳は次のもの
に依っています:
浦廉一、伊東隆夫「TANGGŪ MEYEN(清話百条)の研究」『廣島大学文学部紀要』
第12号、1957、75-277頁。
■K-Dic(multipurpose)
基本的な使い方は、「共通仕様」の説明をご覧下さい。
以下は、「辞書検索システム(K-Dic)」とりわけ「汎用検索システム」に独自の仕様です。
- 検索窓の入力言語
検索文字列を入力する窓(検索窓)に入力する文字はローマ字(もしくはローマ字転写)
です。辞書の見出し語がローマ字以外の文字種の場合には「言語別辞書検索システム」
を使います。
- 検索モード
「見出し語」検索と「全文」検索の2種類があります(デフォルトは「見出し語」検索)。

・「見出し語」検索には次の4種類があります:
「前方一致」「完全一致」「後方一致」「部分一致」(デフォルトは「前方一致」)
これらは、辞書の見出し語に適用されます。
・「全文」検索は、見出し語だけでなく、語釈も含めた全文から検索を行います。「全文」
検索は「部分一致」のみとなります。
・ローマ字、キリル文字で検索する場合デフォルトでは大文字と小文字を区別しません。
「大/小文字区別」にチェックすると、検索の際に大文字と小文字を区別します。
・「部分一致」の検索で、「正規表現」にチェックすると、正規表現を使った検索をする
ことができます。
■Dagur - ダグル(達斡爾)語
この辞書グループは、ダグル(達斡爾)語と漢語(中国語)の対訳辞典です。
ダグル語は、中国語の拼音(ピンイン)方式のローマ字アルファベット26文字を使って
表記されています。ダグル語のローマ字表記方式は、辞典によって統一されていない
所があります。
- 達漢小詞典
恩和巴图『达汉小词典(DAOR NIAKAN BULKU BITEG)』(内蒙古人民出版社、1983)
のダグル語・漢語対訳辞典。
主見出しと副見出し(熟語)を合わせて、約10,200項目。
- 達漢対照詞彙
胡和『达斡尔语汉语对照词典(DAGUR-NIAKN DUAILLML USGSUL)』((黒竜江省
民族研究所・黒竜江省達斡爾族学会、1988)の、ダグル語・漢語対訳辞典。
元の辞典では、単語は意味によって分類・配列されています。
この辞典のデータは、内蒙古大学蒙古学学院の其布尔哈斯(チブルハス)副教授が
入力と校正を行ったものです。のべ語数、約17,970語。
- 達哈漢対照詞彙
开英『达斡尔、哈萨克、汉语对照词典(DAƢURXA-ҚAZAҚXA-HANZUXA
SALESTERMALE SѲZDIK)』(新疆人民出版社、1982)。
ダグル語・カザフ語・漢語の3言語対訳辞典ですが、その中からダグル語と漢語だけを
取り出して、ダグル語と漢語の対訳辞典として登録しました。約8,750語。
- 漢達詞典
那顺达来『汉达词典(NIAKAN DAOR BULKU BITEG)』(《達斡爾資料集》編委会・全国
少数民族資料研究小組、2001)によっています。
この辞書は、漢語とダグル語の対訳辞典ですが、ダグル語は満洲文字とローマ字に
よって表記されています。ローマ字表記は満洲文字をそのままローマ字転写したもの
ではなく、満洲文字表記に解釈を加えてローマ字表記にしたものです。漢語とローマ
字表記のダグル語を登録しました。約12,000語。
この辞典の電子化データの点検(校正)作業に際して、内蒙古大学蒙古学学院の
其布尔哈斯(チブルハス)副教授の協力をいただきました。
■Monguor - モングォル(土族)語
■Dunxian - ドゥンシャン(東郷)語
- 東郷語漢語詞典
中国語のピンイン(拼音)方式によるドゥンシャン(東郷)語と漢語の対訳辞典です。
马国忠、陈元龙『东乡语汉语词典(DUNXIAN KIELIEN KHIDEI KIELIENNI LUGVEQI)』
(第二版,甘粛民族出版社、2012)によっています。
内蒙古大学蒙古学学院の其布尔哈斯(チブルハス)副教授がデータを原本と照合し、
点検・校正を行いました。
中国語のピンイン(拼音)方式による東郷語の正書法(書き言葉)は東郷族の間に普及
しているものではなく、新しい試み(提案)として位置付けられるものです。
■Mongol_1グループ
この辞書グループには、18世紀末から20世紀前半までに編纂・刊行されたモンゴル語の
古辞書を登録しています。
- 五体清文鑑
18世紀末に成立した『御製五体清文鑑』の中のモンゴル語を見出し語として、満洲語訳語
と漢語訳語を付し、『五体清文鑑訳解』(京都大学文学部内陸アジア研究所)の日本語訳
を登録しました。全18,671項目。
- 蒙文倒綱
『蒙文倒綱』は咸豊元年(1851年)の序をもつモンゴル語・漢語・満洲語の3言語対照辞典
です。題箋には「蒙文倒綱」とありますが、モンゴル語の目録・書目などでは「蒙文彙書」
と記されているものです。
モンゴル語を見出し語として、漢語と満洲語の対訳を登録しました。原本の影印は、
栗林均編『蒙文倒綱-資料編・原本影印-』(東北アジア研究センター、2012)として、
また同書のモンゴル文語索引は栗林均・斯欽巴図編『蒙文倒綱-モンゴル語ローマ字
転写配列-』(東北アジア研究センター、2014)として公刊されています。
- 蒙文総彙
『蒙文総彙』光緒辛卯(1891年)の序をもつ木版刷りのモンゴル語・漢語・満洲語対訳辞
典です。モンゴル語を見出し語として、漢語と満洲語の対訳を登録しました。「蒙文総彙」
のモンゴル文語索引は栗林均編『「蒙文総彙」-モンゴル語ローマ字転写配列-』(東北
アジア研究センター、2010年)として公刊されています。
- 満蒙文鑑
康煕56年(1717年)の序をもつ満洲語とモンゴル語対訳の『御製満蒙清文鑑』に基づき、
モンゴル語の見出し語、満洲語の対訳語、さらにモンゴル語の語釈を登録しました。
全12,110項目。
- 蒙漢字典
民国17(1928)年に北京の蒙文書社から出版された『蒙漢字典』は鉛版活字で出版された
最初のモンゴル語辞典です。モンゴル語を見出し語として漢語訳を登録しました。
見出し語は約18,600語。この字典は、1891年に理藩院の建議によって木版で出版された
『欽定蒙文彙書』(モンゴル語・漢語・満洲語3言語対訳)の中から、モンゴル語と漢語を
抜き出して「蒙漢」字典としたものです。
原本の影印は、栗林均編『蒙漢字典-資料編・原本影印-』(東北アジア研究センター、
2014)として公刊されています。
■Mongol_2グループ
18世紀前半のモンゴル文語と現代モンゴル文語を比較するものです。
- 二十一巻本辞典
内蒙古蒙古語言文学歴史研究所『二十一巻本辞典』(内蒙古人民出版社、1977)は、いわ
ゆる「満蒙文鑑」(康煕56年の序をもつ満洲語とモンゴル語対訳の『御製満蒙清文鑑』)の
中から、モンゴル語の見出し語と語釈を抜き出したものです。一部の正書法などは現代
の表記に準じて改められています。そのモンゴル語の見出し語と語釈を登録しました。
- 正音正字
布林特古斯『蒙语正音正字词典』(内蒙古教育出版社、1977)にもとづいて、見出し語と
説明を登録しました。約25,600語。
- 満蒙文鑑
康煕56年(1717年)の序をもつ満洲語とモンゴル語対訳の『御製満蒙清文鑑』に基づき、
モンゴル語の見出し語、満洲語の見出し語、モンゴル語の語釈を登録しました。上記
『二十一巻本辞典』のもとになったものです。全12,110項目。
■Mongol_3グループ
この辞書グループには、古典式モンゴル文語の文献を読むのに有用な(ある意味必須の)
モンゴル文語辞典を登録しました。コワレフスキーの辞書は、言語の面で使いにくい所
がありますが、『蒙古語大辞典』はそれを取り入れているので、日本人にとっては有難い
存在です。モンゴル文語のローマ字転写形で検索します。
- Lessing
レシング(Lessing)のモンゴル文語・英語辞典です。
Ferdinand D. Lessing et al.,Mongolian-English Dictionary. Berkeley: University
of California Press, 1960; reprint, with supplements, by Mongolia Society
of Bloomington, Indiana, 1973.に基づき、見出し語(主見出しと副見出し)と英語訳を
登録しました。約45,000項目。
- 蒙古語大辞典
3巻からなるモンゴル文語の辞典です(下巻は「和蒙の部」)
陸軍省『蒙古語大辞典 蒙和之部(上巻・中巻)』(偕行社、1933)に基づき、見出し語
(主見出しと副見出し)を登録しました。約39,600項目。
見出し語(主、副)を検索して元の頁を画像で参照する使い方を想定しています。
- Kowalewski
コワレフスキー(Kowalewski)のモンゴル文語・ロシア語・フランス語辞典です。
Josef S.Kowalewski, Dictionnaire mongol-russe-français. Kazan, 1844-1849.
に基づき、見出し語を登録しました。約39,470項目
見出し語を検索して元の頁を画像で参照する使い方を想定しています。
■Manchuグループ
この辞書グループは、満洲文語(ローマ字転写形)を見出し語とする対訳辞典です。
満洲文語のローマ字転写を表示するのに、BitheGoth フォントを使っています。
- 五体清文鑑
『御製五体清文鑑』に基づき、満洲語の見出し語、漢語訳、モンゴル語訳、さらに『五体清
文鑑訳解』(京都大学文学部内陸アジア研究所)の日本語訳を登録しました。全18,671項目。
- 満蒙文鑑
康煕56年(1717年)の序をもつ満洲語とモンゴル語対訳の『御製満蒙清文鑑』に基づき、
満洲語の見出し語、モンゴル語の対訳、満洲語の語釈を登録しました。全12,110項目。
- 大清全書
『大清全書』(康煕刊本)の電子化テキストに基づき、満洲語(ローマ字転写)と漢語訳
を登録しました。全14,323項目。電子化テキストは、韓国アルタイ学会による「満洲語辞書・
文学作品データベース構築」プロジェクト(2012-2015)によって作成されたものを提供して
いただきました。
画像は、『大清全書』(遼寧民族出版社、2008)
よっています。
- 三合切音清文鑑
乾隆45年(1780年)の序をもつ『御製満珠蒙古漢字三合切音清文鑑』に基づき、満洲語の
見出し語、漢語、モンゴル語を登録しました。全13,835項目。
満洲語の索引は栗林均・呼日勒巴特爾編
『「御製満珠蒙古漢字三合切音清文鑑」満洲語
配列対照語彙』(東北アジア研究センター、2008年)として公刊されています。
- 増訂清文鑑
乾隆36年(1771年)の序をもつ『御製増訂清文鑑』に基づき、満洲語の見出し語、漢語訳、
満洲語の語釈を登録しました。全18,654項目。
■Mongolicグループ
この辞書グループは、モンゴル系諸言語の中で、モンゴル語と共通の起源をもつ語彙を集
めたものです。キーワード(見出し語)は、モンゴル文語形(ローマ字転写)で、それに対応
するモンゴル系言語の形が国際音声字母(IPA)で示されます。
これらは、内蒙古人民出版社から刊行された「蒙古語族語言方言研究叢書」の各言語の語
彙集の中から、モンゴル語族の同源語を抽出したものです。漢語訳は、もとの「詞彙」に
付されている各言語における漢語の対訳、日本語訳はモンゴル文語形の意味です。
見出し語(モンゴル文語形)に対応する語彙がない場合は、その言語ではすでに同系の語彙
が用いられなくなった(外来語等、別の語が用いられるようになった)ことが考えられます。
- Dagur_mon
モンゴル文語とダグル語の対応語彙です。
恩和巴图(エンフバト)等编『达斡尔语词汇』(蒙古語族語言方言研究叢書005、内蒙古人民
出版社、1984年)および、それに基づいてモンゴル系の語彙を整理した栗林均編『「達斡爾
語詞彙」蒙古文語索引 附:満洲文語索引』(東北アジア研究センター、2011)によっています。
- Monguor_mon
モンゴル文語とモングォル(土族)語の対応語彙です。
哈斯巴特尔(ハスバートル)等编『土族语词汇』(蒙古語族語言方言研究叢書014、内蒙古
人民出版社、1985年)、およびそれに基づいてモンゴル系の語彙を整理した栗林均編
『「土族語詞彙」蒙古文語索引』(東北アジア研究センター、2013年)によっています。
- Baoan_mon
モンゴル文語とバオアン(保安)語の対応語彙です。
陈乃雄等编『保安语词汇』(蒙古語族語言方言研究叢書011、内蒙古人民出版社、1985年)、
およびそれに基づいてモンゴル系の語彙を整理した栗林均編『「保安語詞彙」蒙古文語索引』
(東北アジア研究センター、2012年)によっています。
■個別言語辞書
■Mongolian Dic(伝統的モンゴル文字)
伝統的モンゴル文字表記のモンゴル語を見出し語とした辞書グループです。
・検索モードには「蒙文詞条」「転写字母」「全文」の3種類があります。

・「蒙文詞条」検索モードでは、自動的に伝統的モンゴル文字入力モードになります。
キーボードのキーと伝統的モンゴル文字との対応は「Help」の「Mongol配列」を参照して
ください。
・「転写文字」検索モードでは、ローマ字転写で見出し語の検索を行います。
・「全文」検索モードでは、漢語訳文・例文も含めてすべての文字種で検索を行うことが
できます。
・「不包括副条」をチェックすると、副見出しの項目を検索対象から除外して、主見出しの
項目だけを検索します。
・「模糊查询」(あいまい検索)では、伝統的モンゴル文字の中で、異なる文字が同じ字形
をとる場合、それらを区別しないで両方に(どちらにも)ヒットします。それらは、
o(1823)とu(1824)、ö(1825)とü(1826)、t(1832)とd(1833)、女性語のh(182C)とg(182D)、
および語頭以外の位置におけるa(1820)とe(1821)です。
- 蒙漢詞典
内蒙古大学蒙古学研究院蒙古語文研究所『蒙漢詞典(増訂本)』内蒙古大学出版社、
1999.約52,600項目.
『蒙漢詞典』の電子化利用は、東北アジア研究センターと内蒙古大学蒙古学学院の共同
研究によって2008年から進めてきたものです。
- 蒙文総彙
K-Dic(multipurpose)のMongol_1グループに登録した「蒙文総彙」と同じものです。
ここでは、検索窓に直接伝統的モンゴル文字を入力して検索することができます。
■Todo Dic(トド文字)
トド文字表記のオイラート文語を見出し語とした辞書グループです。
・検索モードには「托忒文词条 」「転写字母」「全文」の3種類があります。
「托忒文词条 」検索モードでは、自動的にトド文字入力モードになります。キー
ボードのキーと満洲文字との対応は「Help」の「Todo配列」を参照してください。
・「転写文字」検索では、トド文字のローマ字転写で見出し語の検索を行います。
キーボードのキーとローマ字転写との関係は次のようになっています。
一部のローマ字転写の文字とキーボードのキーとの関係:
キーボードのキー |
C(大文字) |
j |
G |
O(大文字) |
U(大文字) |
S(大文字) |
ローマ字転写 |
č |
ǰ |
γ |
ö |
ü |
š |
また、ローマ字転写の ā ē ī ō ū 等の長音を表すためのバーは、キーボードで「:」(コロン)
に対応しています。上のローマ字転写は、a: e: i: o: u: のように入力します。
・「全文」検索モードでは、漢語訳文・例文も含めてすべての文字種で検索を行うことが
できます。
・「不包括副条」をチェックすると、副見出しを検索対象から除外して、主見出しだけを
検索します。
- 衛拉特方言
确精扎布・纳.格日勒图编《卫拉特方言词汇》>(蒙古語族語言方言研究叢書020、内蒙古
人民出版社、1998)は、オイラート方言の語彙集です。見出し語はオイラート方言の音声
記号表記形で、それにトド文字表記、対応するモンゴル文語(借用語の場合は対応する
外国語)、漢語訳が付されています。ここでは、トド文字表記のオイラート文語形、その
ローマ字転写形、漢語訳、および出現位置(原本のページと、行数)を登録しました。
5,749項目。
検索結果から、もとの語彙集のページを画像で参照することができます。
- 四体衛拉特
乌恩奇・齐.艾仁才主编《四体卫拉特方言鉴》>(新疆人民出版社、2005)は、オイラート
文語形(トド文字)の見出しのもとに発音記号表記、モンゴル文語形、漢語訳を付した
対訳語彙集です。同書の中から、トド文字表記のオイラート文語形、ローマ字転写形、
漢語訳、および出現位置(原本のページ)を登録しました。3,656項目。
検索結果から、もとの語彙集のページを画像で参照することができます。
- Pozdneyev
А.Позднѣвъ, 《Калмыцко-русскій словарь》
(С.-Петебургъ、1911)は、20世紀初にカルムイクの小学校でロシア語を
学習するために作られたカルムイク語・ロシア語対訳辞典です。ここでいうカルムイ
ク語は、トド文字で表記されたオイラート文語と同じものです。
トド文字表記のオイラート文語形、ローマ字転写形、および出現位置(原本のページ)
を登録しました。主見出し語約8,300語。
検索結果から、もとの辞典のページを画像で参照することができます。
■Manchu Dic(満洲文字)
満洲文字表記の満洲語を見出し語とした辞書グループです。
・検索モードには「満文詞条」「転写字母」「全文」の3種類があります。

「満文詞条」の検索モードでは、自動的に満洲文字入力モードになります。キーボード
のキーと満洲文字との対応は「Help」の「Manchu配列」を参照してください。
・「転写文字」検索では、満洲文字のローマ字転写で見出し語の検索を行います。
・「全文」検索モードでは、漢語訳文・例文も含めてすべての文字種で検索を行う
ことができます。
・「不包括副条」をチェックすると、副見出しを検索対象から除外して、主見出し
だけを検索します。
- 満漢大辞典
安双成『满汉大辞典』遼寧民族出版社、1993.約45,400項目.
- 満漢和
『五体清文鑑』の中から満洲語と漢語を取り、『五体清文鑑訳解』(京都大学文学部
内陸アジア研究所)の日本語訳を付したものです。
■Cyrillic Dic(キリル式モンゴル文字)
見出し語がキリル式モンゴル文字の辞書グループです。
「見出し語」検索モードでは、自動的にキリル文字入力モードになります。キーボード
のキーとキリル文字の対応は「Help」の「Монгол配列」を参照してください。
「文語」検索モードでは、自動的に伝統的モンゴル文字の入力モードになり、伝統的
モンゴル文字による検索ができます(データにモンゴル文語形が登録されている場合)。
キーボードと伝統的モンゴル文字の対応は次の通りです:
一部のローマ字転写の文字とキーボードのキーとの関係:
- Цэвэл
Я. Цэвэл, МОНГОЛ ХЭЛНИЙ ТОВЧ ТАЙЛБАР ТОЛЬ, Улсын хэвлэлийн хэрэг
эрхлэх хороо, 1966.
元の辞書では熟語は見出し語の説明中に含まれていますが、電子化する際には、
それらを独立の項目として、検索できるようにしました。約40,600項目。
モンゴル文語形が登録してあるので、「文語」検索モードで伝統的モンゴル文字による
検索が可能です。
- Bawden
Charles Bawden, Mongolian-English Dictionary, Kegan Paul International, 1997.
電子化する際に、元の辞書の熟語を独立の項目にしました。約44,600項目。
- 新蒙漢詞典
《新蒙汉词典》编委会编『新蒙汉词典』商務印書館, 1999.
見出し語を登録して、元の頁を画像で参照するようにしました。約60,500語。
- 蒙和辞典
Доржсүрэнгийн БОЛДБААТАР, 蒙和辞典 МОНГОЛ-ЯПОН ТОЛЬ БИЧИГ,
GEGEE, 2007.
主見出しとその訳語および副見出しのみ登録してあります。約29,000項目。
見出し語(主、副)を検索して元の頁を画像で参照する使い方を想定しています。
- зөв бичихзүй
МОНГОЛ КИРИЛ БИЧГИЙН ЗӨВ БИЧИХЗҮЙН ТОЛЬ. МОНСУДАР, 2011.
電子化に際しては、内田孝さんのご協力をいただきました。約19,400項目。
- Харь үг
О.Сүхбаатар, МОНГОЛ ХЭЛНИЙ ХАРЬ ҮГИЙН ТОЛЬ, 1999.
外来語辞典ですが、チベット語、サンスクリット語、チュルク語、中国語起源のもの
が中心です。約2,600項目。
辞書の本文はOCRで読み取ったもので、十分な点検がしてありません。見出し語を
検索して元の頁を画像で参照する使い方を想定しています。
モンゴル文語形が登録してあるので、「文語」検索モードで伝統的モンゴル文字による
検索が可能です。
■Japanese-Mongolian(ひらがな・カタカナ)
見出し語がひらがな・カタカナ表記の日本語・モンゴル語辞典の辞書グループです。
「見出し語」検索では、日本語Windowsで自動的に日本語入力モードになります。
「全文」検索では、漢字、およびキリル文字による検索も行うことができます。
- 現代日・モ辞典
橋本勝、エルデネ・プレブジャブ『現代日本語モンゴル語辞典』>(春風社、2001)
約18,950語。
- 日・モ基礎語辞典
ダンバダルジャー・ナランツェツェグ『日本語・モンゴル語基礎語辞典』(大学書林、1998)
約3,270語。