日時:2018年2月10日(土)14:00〜17:00
場所:郡山女子大学芸術館
主催:東北大学災害科学国際研究所、郡山女子大学
共催:東北大学東北アジア研究センター
後援:福島県、郡山市、福島民報社、福島民友新聞社、福島テレビ、福島中央テレビ、福島放送、テレビユー福島、ラジオ福島、エフエム福島
東北アジア研究専書『震災後の地域文化と被災者の民俗誌―フィールド災害人文学の構築』(2018年1月、新泉社)の出版を記念して、郡山女子大学で学術成果公開シンポジウムが開催された。福島県や郡山市などの後援を受け開催されたこのシンポジウムは約50人の参加者を集めた。
まずはじめに、災害科学国際研究所助教のセバスチャン・ボレー氏より開会挨拶がなされ、続いて編者の一人である高倉浩樹東北アジア研究センター長より本書および本シンポジウムの趣旨説明がなされた。
続いて「第一部 福島県の民俗芸能」の一人目の登壇者として、本書の執筆者の一人である一柳智子郡山女子大学教授より、請戸の田植え踊りを中心とした事例紹介がなされた。その後、第一部のもう一人の登壇者として、室原郷土芸能保存会の一員である宮口勝美浪江副町長を迎え、民俗芸能と自身のかかわり、震災後の取り組みについて紹介していただいた。
その後休憩を挟み、「第二部:民俗芸能と防災・震災復興」の一人目の登壇者として小谷竜介東北歴史博物館学芸員より、震災以前/以降の民俗文化財をめぐる文脈および自身の三陸沿岸部における調査・研究活動が報告された。そして最後の報告者として、東京文化財研究所無形民俗文化財研究室長の久保田裕道氏より、民俗芸能が防災に果たす役割について論じられた。
これらの報告をふまえたうえで、木村敏明東北大学教授および何燕生郡山女子大学教授より、四人の登壇者に対するコメントがなされ、その後フロア全体の質疑応答がなされた。フロアからは、研究者・専門家の観点と行事の担い手である地域住民との視点の違いや、地域として民俗芸能を維持していくことの工夫や困難といった主題について、質問や話題提供がなされ活発な議論が行われた。震災から7年を迎えるにあたり、これまでの地域社会における調査研究の成果を踏まえたうえで、今後の課題や可能性がより明確になった大変貴重な場であったように思う。
報告:福田 雄