指定国立大学災害科学世界トップレベル研究拠点

東北大学東北アジア研究センター
災害人文学ユニット

Core Research Cluster of Disaster Science

Center for Northeast Asian Studies Disaster Humanities Unit

イベントレポート

2018.09.18
{報告}2017年度第1回災害人文学研究会「スマトラ島沖地震から東日本大震災を考える―震災映像のアーカイブ化と活用をめぐって」(2018/3/2 開催)

日時:2018年3月2日(金)18:00〜19:30

場所:東北大学附属図書館多目的室

主催:震災映像のアーカイブ化と活用研究会

共催:東北アジア研究センター災害人文学ユニット

写真1. 高倉浩樹東北アジア研究センター長とマフルザ・ムルダニ監督

災害人文学第一回研究会が開催された。東北大学の教員・大学院生を中心として約11名(うち外部参加者は2名)が東北大学附属図書館多目的室に集い、震災映画を通じて議論を交わした。

まずはじめに司会より、本研究会の趣旨説明およびスマトラ島沖地震(2004年)、そしてその最大の被災地であるインドネシア・アチェ特別州の歴史や文化が紹介された。

写真2. 司会進行(福田雄、日本学術振興会特別研究員PD)による趣旨説明と映画の背景の解説
写真3. マフルザ・ムルダニ監督による解説

これに続き、本研究会のゲストであるマフルザ・ムルダニ(Mahruza Murdani)の監督作品Pesan Sang Samudera: Catatan dan Harapan 10 Tahun Tsunami Aceh (『海からのメッセージ』2004年製作)が上映された。遺族へのインタビュー映像を縦軸とし、津波の影響の評価や、後世への教育・研究の重要性を横軸として織りなされる約20分の映画の上映後、監督であるムルダニ氏自身から製作背景が解説された。津波10周年記念として、シアクアラ大学津波災害軽減研究センターが企画し、BPBA (Aceh Disaster Management Agency)からの支援を受けて製作されたこの映画は、「記録と希望Notes and Hopes」という二つのキーワードを掲げて製作されたという。被災後のアチェに生きる人びとを主たるオーディエンスと想定するこの映画について、今後は製作過程で割愛せざるをえなかった遺族や漁師へのインタビューを中心に再構成したいと展望が語られた。

写真4. 質疑応答の様子
写真5.質疑応答の様子

その後の質疑応答では、本作品のプロデューサーの一人であるAlfi Rahman(東北大学国際文化研究科大学院生)も交え、参加者と監督との活発な議論が行われた。災害から10年を経て聞き取りをする意味や遺族への心理的サポートの重要性、製作過程での葛藤やこぼれ話、タイトルに込められた思いなどについて意見交換が行われた。このほか土地と人との結びつきやイスラームにおける災害の意味づけといった文化・歴史的コンテクストもまた議論の俎上にあげられた。

写真6. 集合写真

閉会後、よりカジュアルな形で監督や参加者同士が会話する場がもたれ、次の企画に向けての方向性がより深まったように見受けられた。

報告:工藤 さくら

 

 

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