指定国立大学災害科学世界トップレベル研究拠点

東北大学東北アジア研究センター
災害人文学ユニット

Core Research Cluster of Disaster Science

Center for Northeast Asian Studies Disaster Humanities Unit

イベントレポート

2018.12.10
{報告} 第6回災害人文学研究会「ドキュメンタリー映画『赤浜ロックンロール』を観る」(2018/12/4 開催)

日時:2018年12月4日(火)18:15〜20:30

場所:東北大学川内北キャンパス講義棟B棟101室

登壇者:小西晴子(『赤浜ロックンロール』監督)

坂口奈央(文学研究科博士課程後期課程)

主催:東北アジア研究センター災害人文学ユニット

共催:指定国立大学災害科学研究拠点

 

概要:

津波後も海とともに生きる。「赤浜ロックンロール」は、岩手県大槌町に生きる人びとの震災後の生活、葛藤、決断を浮かび上がらせる映画である。監督である

小西晴子氏、大槌町赤浜で社会調査を行う坂口奈央氏を招き、本年度6回目となる災害人文学研究会を開催した。東北大学内外の教員、学生、市民計45人が集まり、映画の上映および意見交換の場がもたれた。

 

赤浜は、ひょっこりひょうたん島のモデルである蓬莱島で有名な大槌町の一地区である。「赤浜ロックンロール」は、この赤浜を舞台として、そこに生きる二人の人物を中心として展開される。中心人物の一人である阿部力は、震災直後に誰よりも早く漁業の再開に向けて動き出した漁師である。「漁師は水揚げしてなんぼ」と海で稼ぎ食っていくことを決意する。もう一人の主要人物である川口博美も赤浜に生まれ育ち、浜での生活をよく知る人物である。震災後、川口は「赤浜の復興を考える会」の代表として、国が提示した防潮堤建設案に反対する。本作品は、三陸沿岸地域において自然とともに生きることは、いかなることなのかを見る者に問いかける。

 

 

上映後の意見交換では、小西氏と坂口氏が壇上にあがり、作品の経緯やその背景、赤浜に生きる人びとの様々な思いや、現在の姿について理解を深めるときがもたれた。小西氏は、当初ボランティアとして入った赤浜で、海を遠ざけようとする自身の先入観を覆され、人びとの生活と知恵を映像として記録するよう動機づけられたという。小西氏と同様に、坂口氏も赤浜に生きる人びとの(「ロック」な!)価値観や生き様に魅了されたという。このほか、ジェンダーによって異なる生活感覚や震災遺構に対する考え方、死者と生者とのかかわり、漁業法改正を含む今後の動向などにかんし両名からコメントがあった。

 

 

その後、参加者との意見交換では、コミュニティの「復興」や「再生」をどのように考えればいいのか、また被災地における外国出身者との共生のあり方といったテーマが論じられた。

報告:福田

 

 

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