

東北アジア経済における新たな可能性-物流と環境の視点から

2012 年になって「世界の工場」と言われる中国が名実相伴ってアジア諸国への第一の輸出国となったが、近年の経済減速につれ、日本・韓国を始めとした先進国が中国における生産拠点を東南アジアの諸国に移転しつつある。2013年には中国で「一帯一路」(OBOR)構想が提唱され、「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海上シルクロード」の開発を積極的に進めている。「シルクロード経済ベルト」において、ユーラシア大陸を横断する複合一貫輸送の進展で、中国内陸と東北地域、朝鮮半島、ロシア東部沿海地域とヨーロッパとの連結性が強まることが予想される。また、中国を起点とした道路、鉄道、海運の開発に伴い、資源利用の増加も予想される。このように生産拠点の移転、経済ベルトの推進により経済的構図が大きく変わろうしているアジア地域において、エネルギー使用や環境への影響も懸念される。
一方、温室効果ガスの排出削減を目指して世界各国では原子力発電と化石燃料への依存度を低下させ、再生可能エネルギーの使用を増進する“エネルギー転換”が行われている。国の自然、経済、社会条件や立地合意、市民参加などの状況により、東北アジアに位置する諸国においてのエネルギー・環境政策も異なる。
このようにダイナミックに変化しつつある東北アジア地域において、モノの動き(物流)に伴う経済発展とそれによって生じるエネルギー・環境への影響、各国の政策策定などについて、持続可能な発展の視点から見た際に、東北アジア各国が現在置かれている状況を把握し、課題を明確にすることが重要である。本研究ではそれらの究明に努める。

2019年度~2019年度

氏名 | 所属 |
金 丹 | 東北アジア研究センター |
明日香 寿川 | 東北アジア研究センター |
朱 永浩 | 福島大学経済経営学類 |
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