東北大学東北アジア研究センター
創設25周年
記念公開講演会・国際シンポジウム

東北大学東北アジア研究センター創設25周年記念公開講演会・国際シンポジウム

トナカイ

総長挨拶



  東北大学東北アジア研究センター創設25周年にあたり、心よりお祝いを申し上げます。東北アジア研究センターは、1962年に設置された文学部附属日本文化研究施設を前身としており、1996年に日本・朝鮮半島・中国・モンゴル・ロシアを総合的に捉える地域研究を設置目的とした全国唯一の研究型組織として、また人文社会科学と自然科学による学際研究施設として発足し、これまで活動してきました。

  本学は、「研究第一主義」「門戸開放」「実学尊重」という三つの理念のもと、人文・社会科学から自然科学までを横断する「総合知」を大学全体で築き上げてきました。また東北大学ビジョン2030では、大変革時代の社会を世界的視野で力強く先導するリーダーを育成する「教育」、卓越した学術研究を通して知を創造しイノベーションの創出を力強く推進する「研究」、そして従来の社会連携と産学共創とを統合した「社会との共創」を柱として、これら3要素の好循環を、大学の「経営革新」を図ることで、より高い次元で実現することを目指しています。

  当センターでは、地域の多様な社会・文化・自然・歴史へのさらなる理解を深め、直面する環境や社会問題の解決を図り、地域社会と連携した研究活動に取り組むとともに、これまで培った豊富な研究成果を基盤とする質の高い教育により東北アジア地域研究を担う国際的なリーダーの育成に努めてまいりました。また東北アジア地域諸国とのネットワークによる国際的連携の下で文系・理系の枠を超えた新しい学際的研究領域を開拓してきました。その中でも、温暖化や生物多様性、漁業資源保全問題の解決、レーダ技術を用いた減災研究などの幅広い研究成果は、国際的にも高く評価されており、東日本大震災被災地の無形文化財保全、民間・行政と連携した歴史資料保全等でも地域社会に大きく貢献しています。

  現代社会は大きな変革期にあります。グローバリゼーションの進展に対して、地域の課題を解決していくとともに、世界をリードしていくためには、国や地域固有の社会的・文化的背景をも踏まえた理解を深めることが不可欠です。さまざまな分野の研究者が連携して東北アジア地域研究に取り組んでいる本センターの果たす役割は、今後ますます大きくなっていくと確信しています。

  当センターが、本学のユニークな研究センターとして、また国際的な東北アジア地域研究の拠点としてますます発展し、一層活躍することを期待して、祝辞とさせていただきます。



  令和3年6月26日
東北大学総長 大野英男