東北大学東北アジア研究センター
創設25周年
記念公開講演会・国際シンポジウム

東北大学東北アジア研究センター創設25周年記念公開講演会・国際シンポジウム

トナカイ

記念公開講演会

 
人類進化学者。理学博士。1969年生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程を中退し、国立科学博物館を経て、2020年より現職。約200万年におよぶアジアの人類史を研究している。クラウドファンディングを成功させ、最初の日本列島人の大航海を再現する「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」(国立科学博物館:2016-2019)を実行。著書に「サピエンス日本上陸」(講談社2020)、「日本人はどこから来たのか?」(文藝春秋 2016:古代歴史文化賞)など。日本学術振興会賞(2012)、モンベルチャレンジアワード(2016)、山縣勝見賞(2019)などを受賞。
日 時
6月26日(土) 15:00-16:00
オンライン開催
発表言語
日本語
講演要旨
200万年以上前の原人の出現にはじまるアジア人類史についての認識が、最近の研究の進展で大きく変化してきている。2004年にインドネシアで、2019年にはフィリピンで身長1メートルほどの小型原人の存在が報告され、学界を驚かせた。さらにシベリアなどへのネアンデルタール人の進出や、デニソワ人と呼ばれる別の旧人集団の存在も指摘され、5万年前頃までのアジア各地に多様な古代型人類が暮らしていた実態が判明してきた。しかしアフリカ由来のホモ・サピエンスが当地に出現すると、これらの人類が姿を消しただけでなく、ホモ・サピエンスはそうした先行人類の分布域を大きく超えて、寒冷地や島嶼にも広がっていった。この長い歴史の中には、我々とそれ以前の人類の相違点や、人類の多様性の本質など、人類についての重要な問いに答える鍵が隠されているはずだ。本講演ではそのような問題意識に立ちながら、アジア人類史研究の現状を紹介する。