

東日本大震災後の復興過程に関わる地域社会比較と民族誌情報の応用

本共同研究は、東日本大震災後の地域社会における復興過程を民族誌的に解明しつつ、それらを比較総合化することで全体像の解明を試みるものである。と同時にそこで収集された民族誌資料の実践的な取り組みをおこなう。このことを通して、人類学・民俗学・宗教学等(以下、「人類学等」)の分野によるフィールドワークにもとづく震災復興過程のデータ蓄積と理論的探求をおこないつつ、民族誌情報を社会にむけて発信していく体制を構築することを目指す。
本研究のメンバーは、これまで代表者とともに宮城県からの委託調査「東日本大震災にともなう無形民俗文化財調査」に関わってきた研究者である。これまでの2年間の調査は、いわば緊急調査的な性質であり、復興過程のドキュメンテーション化が重要な課題であった。それを受けて行われる本研究は、復興過程における個人に着目し、その思考や行動は、震災後の地域社会の変化とどのように作用しているのか(していないのか)明らかにしようとするものである。復興政策や外部者との関係もふまえつつ、非都市部としてひと括りにされる多様な地域社会の復興は全体としてどのように進んでいるのか、さらにそれは当事者にとってどのような意味をもっているのか、可能な限り当事者の視点によりそう形で解明することを目指す。
もう一つの課題は、調査によって蓄積されてきた民族誌情報の社会的活用を行うことである。電子データベース化の構築や被調査地域社会間の連携交流、さらに防災人類学的なワークショップもおこないつつ、人類学等によるフィールドワークにもとづく民族誌資料を学術情報として地域社会や地方行政への支援に役立てる方途について実践をふまえつつ探求する。

2013年度~2015年度

氏名 | 所属 |
高倉 浩樹 | 東北大学東北アジア研究センター |
金 賢貞 | 東北大学東北アジア研究センター |
滝澤 克彦 | 東北大学東北アジア研究センター |
稲澤 努 | 東北大学東北アジア研究センター |
川島 秀一 | 東北大学災害科学国際研究所 |
木村 敏明 | 東北大学文学研究科 |
小谷 竜介 | 東北歴史博物館 |
植田今日子 | 東北学院大学 |
酒井 朋子 | 東北学院大学講師 |
岡田 浩樹 | 神戸大学 |
梅屋 潔 | 神戸大学 |
山口未花子 | 北九州市立大学 |
兼城 糸絵 | 鹿児島大学 |

研究会の実施、センター叢書の刊行、データベース公開、講演会等の実施
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