

畜産物の流通にみるモンゴル高原のグローバリゼーション

本研究計画は、中華人民共和国(以下、中国)とモンゴル国にまたがって暮らすモンゴル系の人びとの経済活動、とくに牧畜の文化に根ざしたモノである畜産物に着眼して、モンゴル高原地域における物流システムの特徴とその変化を、国家の体制およびグローバルな経済システムとの関係のなかで明らかにすることを目的とする。具体的には、3月初旬までに研究代表者と分担者3名が貴センターに3日間滞在し、シンポジウム・研究情報の交換・資料収集をおこなう。
研究方法としては、当事者の視点と諸個人のミクロな実践に焦点をあてた、人類学的なフィールドワークデータを重視しながら、多分野および他地域の研究者との議論をとおして、モンゴルおよび東北アジアの物流システムの特徴を照射する。
期待される成果は次の2つである。(1)研究:モンゴルの畜産物の流通を事例とし、貨幣で媒介される交換経済が世界的に拡大してきたプロセス(社会主義期を含めて)の一端として、東北アジア地域におけるグローバリゼーションの展開にみられるローカルな特徴を解明する。(2)社会還元:日本ではモンゴルビジネス、中国ビジネスへの関心が急速に高まっているが、商慣行のちがいによる問題も生じている。モンゴルの物流のあり方を人類学的な異文化翻訳の方法で日本に紹介し、日モ中のあいだでの経済的な相互理解と問題解決に寄与し、東北アジア地域の共生に貢献する。
貴センターとの共同で研究を進める第一の理由は、シンポジウムを東北アジア研究の国内最大拠点で実施することの社会的インパクトをねらうものである。すでにコメンテーター役を高倉浩樹先生がご快諾くださった。また貴センターが教育にかかわっている環境科学研究科には当該地域を研究している大学院生も多いため、次世代の研究者への刺激という効果も期待できる。

平成26年7月~平成27年3月

氏名 | 所属 |
風戸 真理 | 北星学園大学短期大学部 |
高倉 浩樹 | 東北大学東北アジア研究センター |
尾崎 孝宏 | 鹿児島大学法文学部 |
冨田 敬大 | 立命館大学・立命館グローバル・イノベーション研究機構 |
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