

伝統的モンゴル語辞書の研究

本研究では、伝統的モンゴル語の辞書を文献学的・言語学的観点から研究する。
「伝統的モンゴル語」は、13世紀以来モンゴル族が自らの言語を表記するために使用してきた、縦書きのモンゴル文字で綴る書き言葉を指す。本研究では、伝統的モンゴル語を見出し語として訳語・解説を付した「辞書」について、いつ・どのような辞書が編纂されたか、文献学的情報を明らかにし、それぞれの記載内容を比較検討することにより、辞書相互の関係を明らかにし、それらがモンゴル語の語彙の発展に果たした役割を明らかにする。
伝統的モンゴル語の辞書に関しては、主として(1)清朝期に作られた満洲語の辞書(清文鑑)の伝統を引き継ぐもの(2)清朝期に作られた仏教用語辞書(3)19世紀以来ロシア・ヨーロッパ・日本で編纂された辞書、に大別することができる。
春花『清代満蒙詞典研究』(2008)は、清朝時代におけるモンゴル語と満洲語の辞書を文献学的に調査したもので、そこにはモンゴル語を含む 50 種類以上の辞書が列挙・開設されている。このような辞書編纂の歴史があるにもかかわらず、「伝統的モンゴル語の辞典」に関しては上記春花の著書の他に、目立った研究が行われてこなかった。それは、これまで詳細な文献学的情報を得ることが困難だったことや、「辞書」という大部の編纂物の詳細を研究することが容易でなかったためと考えられる。
本研究は、これまでに公刊された辞書の書誌学的な情報を整理し、公刊されていない辞書に関しては実物と所在を確認するための調査を行い、個々の「伝統的モンゴル語辞書」の特徴を明らかにし、それぞれの辞書の相互関係を研究する。

2014年度~2016年度

氏名 | 所属 |
栗林 均 | 東北アジア研究センター |
斯欽巴図 | 内蒙古大学 |
Ts.シャグダルスレン | モンゴル国立大学 |
E.プレブジャブ | モンゴル科学アカデミー |
松川 節 | 大谷大学 |

東北アジア研究センター叢書、報告による出版,ホームページによる成果公開。
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