

地中レーダを用いた台湾東部地域における津波堆積物調査

申請者は、沖縄・台湾を襲った過去の津波を探る研究を行ってきた。沖縄を襲った1771年明和津波の波源域の調査や、台湾南東部の津波伝承をもとにそれを起こした地震津波の調査をおこなってきた。その頃、台湾南部でフィールドワークを続けている中生勝美教授と、蘭嶼島に残された津波伝承の起源を探り始めた。蘭嶼島に分布する海岸の岩塊が台風・津波のどちらで移動したのかを数値計算で再現・推定する手法を導入し、大部分の岩塊は50年に一度規模の台風波浪で移動しているが、ある時期に大津波によって打ち上げられた可能性は否定できないことを論文で発表した。一方、中生教授はセンターでの報告会に出席した際に、佐藤源之教授の電磁波による地層研究の報告を聞き、従来の津波研究とは異なるアプローチで、電磁波を使って津波の痕跡がある地層調査ができないかと考えた。そこで佐藤教授の紹介により台湾中央大学の陳教授とともに地中レーダでの調査を台湾成功鎮と蘭嶼島で開始した。調査の結果、津波堆積物層の条件によっては地中レーダで層を検出可能であることをつきとめた。そこで次のステップとして、昨年の調査で津波の痕跡が検出できた台湾台東県成功鎮で、陳教授のグループと地中レーダを用いた地層調査を実施して、より広範囲で津波堆積物層の分布を調べ、過去の津波がどの高さまで到達したのか、運ばれたサンゴ片の分布を基に推定し、さらにその襲来時期を明確にする。さらに周辺地域で発見されている津波堆積物の情報を合わせて数値計算を行うことにより、過去の津波の波源域の絞り込みをおこなう。

2016年度~2016年度

氏名 | 所属 |
中村 衛 | 琉球大学理学部 |
祖慶 真也 | 琉球大学理工学研究科 |
中生 勝美 | 桜美林大学人文学系 |
佐藤 源之 | 東北アジア研究センター |
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