⇒ 関連リンク
国立研究開発法人海洋研究開発機構 海底資源研究開発センターの町田嗣樹 特任技術研究員、国立大学法人京都大学 大学院人間・環境学研究科の小木曽哲 教授および国立大学法人東北大学 東北アジア研究センターの平野直人 准教授は共同で、日本海溝沖の北西太平洋に存在するプチスポットと呼ばれる火山で活動したマグマの生成条件を明らかにするため、高温高圧溶融実験を行った結果、プチスポットのマグマは、プレート直下のアセノスフェアに由来することを示しました。
過去の研究により、プチスポットマグマには二酸化炭素が重量比で10%程度と、日本列島などで活動する他の火山のマグマに比べてはるかに大量に含まれていることが明らかになっていました。加えて今回の実験によって、プチスポットマグマがアセノスフェアに由来することを示したことにより、アセノスフェアでは二酸化炭素の存在によってマントルかんらん岩の融点が低下し、二酸化炭素に富むマグマが生成されていることが確かめられました。つまり、この事実は、プチスポットには地球内部のアセノスフェアが部分的に溶けているということを示す(物的)証拠といえます。これまで、アセノスフェアにおいて地震波の伝わる速度が低下する(アセノスフェアが柔らかいことを示す)理由について、アセノスフェアが部分的に溶けていることが原因であるとする説と、溶けてはいないとする説(微量の水の存在が原因であるなど)が提唱され、プレートテクトニクス理論が確立された頃から論争が続いています。本研究の成果は、アセノスフェア部分溶融説を強く支持しており、地球のプレート運動やマントル対流の仕組みを根本的に理解するための重要な条件となります。
本研究は、JSPS科研費20740293, 23740379, 24654180,および東レ科学技術研究助成11-5208の助成を受けて実施されたものです。
なお、本成果は、英科学誌「Nature Communications」に2月2日付け(日本時間)で掲載されます。(タイトル:Petit-spot as definitive evidence for partial melting in the asthenosphere caused by CO2 著者:町田嗣樹、小木曽哲、平野直人)
|