

南三陸・仙台湾地域を対象とした次世代ジオツーリズムの構築

科学コミュニュケータ育成を通じて南三陸・仙台湾地域のジオパーク化を目指した科研費(基盤研究(B)代表:谷口宏充)が平成28年3月に終了した。その研究成果として同地域に存在する地質・地形・歴史遺構・震災遺構等のジオサイト243点を調査・収集したガイドブック「南三陸・仙台湾地域のジオツアーガイド-東日本大震災による災害遺産を通じて自然を理解し防災を学ぶ-」が作成された。ガイドブックではこの地域がジオパークとして十分なポテンシャルを持つことが示されたが、ガイドブックを活用する段階までは到達できなかったことから、その活用法を検討することで、次の段階へ進むことが求められる。
ジオサイト見学を基としたジオツアーはジオツーリズムの根幹であり、これが単なる観光ではなく、学術的な背景(テーマ)をもって企画される必要がある。本研究でも、集約したジオサイト情報を活用し、ジオツアーを提案する。南三陸・仙台湾地域は東日本大震災による被災地域であるため震災遺構を活用した防災教育に目がいきがちであるが、同地域には自然を読み解く力を養成するためのテーマも多く残されており、個々の風土に根ざした多様なテーマ形成を行うことを可能とするため、地質・地理・歴史などの多様な分野の研究者が集まった組織構成とした。
ジオツアー提案によるジオツーリズムの形成が本研究の柱の1つであるが、ツアーを継続的かつ発展的に運営する方法の構築も重要である。従来、研究者に代わる伝達役としてジオガイドがその役割を果たすが、的確な人材を育成することは容易ではない。これに代わる手段として、本研究では訪問者がガイド無しでもその学術的背景を理解しつつツーリズムを実施できる方法を検討する。具体的にはスマートフォンなどの携帯端末を利用した現地での効果的な情報発信の方法、そこで提供すべき情報量と内容の検討を行うなど、新たな形でのジオツーリズムの構築を目指す。

2017年度~2019年度

氏名 | 所属 |
宮本 毅 | 東北アジア研究センター |
宮原 育子 | 宮城女子大学 |
長瀬 敏郎 | 東北大学学術資源研究公開センター |
菅野 均志 | 東北大学農学研究科 |
谷口 宏充 | 東北大学 |
永広 昌之 | 東北大学 |
田代 侃 | 東北工業大学 |
植木 貞人 | 東北大学 |
相原 淳一 | 東北歴史博物館 |
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