

東北アジア諸地域における清朝統治の歴史的意味に関する比較研究

中国東北部に住むジュシェン諸集団から勃興したマンジュが建国した清の帝国統治は、遼東を支配する中国=明と、西隣のモンゴル諸集団との関係の積み重ねを基盤として形成されたものである。清は拡大の過程でモンゴル・チベット・トルキスタンなど、内陸アジアの諸社会を取り込んでいった。それゆえマンジュの支配は、これらの地域それぞれの歴史的文脈を持ちながら、それぞれの地域において一時代を画することになった。
マンジュ国家の性格については、中国的な歴史世界(中華世界)の文脈において捉える見方と、中央ユーラシア的文脈において捉える見方が存在するが、後者については、個別地域に関する研究の進展にも拘わらず、総体としてこの時代をどのように理解するのかについての議論はいまだ充分にはなされていない。また一口に中央ユーラシアとは言っても、その内実は多様であり、遊牧民の世界やチベット仏教世界、イスラーム世界など、複数の歴史世界が含まれている。
そこで本研究では、ユーラシア東部におけるマンジュ、中国、モンゴル、チベット、トルキスタン史それぞれの文脈上に清の時代を位置づけるとともに、マンジュ自身についてもユーラシア的視野の中で歴史的位置を考察することを通じて、ユーラシアにおける清朝の統治の意義を明らかにしたい。

2017年度~2019年度

氏名 | 所属 |
岡 洋樹 | 東北アジア研究センター |
杉山 清彦 | 東京大学大学院総合文化研究科 |
小沼 孝博 | 東北学院大学文学部 |
大野 晃嗣 | 東北大学大学院文学研究科 |
石濱 由美子 | 早稲田大学教育学術院 |
中村 篤志 | 山形大学人文学部 |
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