

自然災害の発生による政治・社会構造の変容に関する比較研究

自然災害の発生は、社会の意識や構造、政治論理を大きく変容させる。既存研究の多くは、自然災害が発生した当時の状況を「平時とは異なる危機的状況」と見做し、その特殊な状況下での政治運営のメカニズムや社会の行動原理を明らかにした。
それでは、自然災害の発生は「平時とは異なる」ことから、その後の政治・社会構造と断絶しているのであろうか。平時には相互の利益調整が必要とされる政策決定過程が、自然災害の発生時には、それに対する措置として、政府が強制力をもって政策を選択することができる。そういった政府の行為は、平時との非連続性を抽出することができるが、歴史的制度論の見地を援用すれば、その後の復興期へと移行するにつれ、危機時に選択された政策は平時の政治・社会構造に埋め込まれ、再度大幅な変更を加えることが難しくなる。
本共同研究は、自然災害の発生をその後の政治・社会構造を形成する決定的契機であったと捉えなおし、社会的危機下の状況とその後の平時の状況との連続性を検証する。そして、本共同研究は、このような分析視角に基づき、時間軸においても空間軸においても幅広く事例を採取し、量的・質的な分析を駆使した比較研究を遂行することで、自然災害に直面した国家の政治・社会構造の変容に関する普遍的な法則を導出することを目指す。

2018年度~2018年度

氏名 | 所属 |
内藤 寛子 | 東北アジア研究センター |
菊地 映輝 | 国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター |
松谷 昇蔵 | 中南財経政法大学 |
三谷 宗一郎 | 医療経済研究機構 |
小野田 亮 | 法政大学 |
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