

北極域社会における人間の安全保障に関する方法の探求

北極域における気候変動が地域の人間の安全保障に与える影響評価を行うための方法を解明することを目的とする。
高緯度地帯の気候変動は中低緯度よりも著しく、このことは経済のグローバル化と重なり、北極域の社会に大きな影響を与えている。先住民のアイデンティティにも寄与している地域の食糧資源はその一つである。特に漁業資源は、近年東アジア社会を含めた域外に輸出されるようになった。この点で、北極域の漁業資源は域内外の社会経済的動態のなかにある。また、北極域の観光発展に象徴されるように、域外からの人・モノの流入は地域経済だけでなく、北極域地域住民の健康や衛生環境にも影響を与えている。これらは自然の変化と社会経済・政策が絡み合った問題領域である。こうした北極域社会の変動に捉えるにあたっての学際的な方法を、人間の安全保障概念―脅威からの自由、欠乏からの自由、尊厳を持って生きる自由―を手がかりに明らかにすることを目指す。食品とアイデンティティ、健康と環境汚染がキーワードとなる。
研究メンバーの専門は文化人類学、国際保健学領域であり、その手法をふまえて、どのような調査研究手法が適切か、とりわけコロナ災禍における条件をふまえての新しいアプローチについても探る。またどのような隣接領域との学際協力が必要かについても検討する。研究会活動を行うことで、本課題についてのメンバーそれぞれの専門的知見を共有し、それをふまえてどのような方法が好ましいのかを明らかにし、同時にその実現のために必要な知識の収集と整理を行う。

2020年度~2020年度

氏名 | 所属 |
高倉 浩樹 | 東北アジア研究センター |
デレーニ アリーン | 東北アジア研究センター |
川口 幸大 | 東北大学文学研究科 |
中野 久美子 | 東北大学医学研究科 |
石井 花織 | 東北大学環境科学研究科 |
近藤 祉秋 | 北海道大学 |
永山 ゆかり | 釧路公立大学 |
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