

多言語絵本の共同制作から探る異文化理解と交流の表現手法

本共同研究では、日本に起源を持つ地下足袋が、エチオピアの牛耕農村において活用可能性を見出され、現地生産と流通をめざす改良が進められている事例を取り上げ、日本・エチオピア双方の鑑賞者に異文化理解をうながす表現手法を探究・実践する。具体的には、エチオピア牛耕農村の暮らしをテーマとする多言語絵本の制作と展示発表会・報告会を実施する。
「東北大学附置研究所2019年度若手研究者アンサンブルグラント第2ステージ」採択プロジェクト「履いて身体を理解・表現するアフリカ地下足袋協奏の実践的研究」(研究代表者・田中利和)では、地域研究・文化人類学を専門とする田中が10数年間にわたり研究活動のフィールドとしてきたエチオピア・ウォリソの牛耕農村で、2020年1月に本共同研究のメンバーである是恒・伊藤と協働フィールドワークを行った。是恒の芸術・デザイン工学の専門的観点、伊藤の医学・運動機能解析の専門的知見を取り入れ、牛耕農村の住民らと生活を共にしながら絵画作品の協働制作を行い、現地の生活風景である特徴的な家屋や家畜、道具や植物、人物等を絵で表現し、村内で展示・鑑賞の場をもうけた。
田中の長年にわたる活動により、日本に起源を持つ地下足袋がエチオピアの牛耕で活用され現地住民の生活・健康状態の改善に貢献する可能性が大いにあることがわかっている。本プロジェクトでは、エチオピア現地の素材と職人技術により変化し新たな文化を生み出しつつある地下足袋を中心的題材として、エチオピアの牛耕農村の生活をわかりやすく伝える物語と絵本を制作・発表・配本することで、日本―エチオピアの双方向的な異文化理解をすすめ、国際的かつ協働的な文化・技術形態としてのエチオピア産地下足袋「エチオタビ」のさらなる進展の可能性を探る。また、本共同研究は理系・文系の研究者が協働する、学際的及び総合的な研究成果を普及させる手立てとして「芸術・表現」を取り入れる新たな試みである。

2020年度~2020年度

氏名 | 所属 |
是恒 さくら | 東北アジア研究センター |
伊藤 大亮 | 東北大学大学院医工学研究科 |
田中 利和 | 龍谷大学経済学部現代経済学科 |
甲斐 洋行 | 東北大学材料科学高等研究所 |
![]() |