

地質研究資産(標本と紙資料)の持続・発展可能なキュレーション体制の基礎研究

東北アジア研究センターは、国内では唯一の「自然史研究分野を含む」文理融合型の文系の大学附置研究センターであり、文理融合型の学際研究で新しい分野を開拓・リード可能な「場」として、極めてユニークな研究組織である。本共同研究は文化・自然史遺産の取扱への発展も考慮した、地質研究資産(標本と紙資料)の持続・発展可能なキュレーション体制の構築にために必要なミニマムプロトコルを研究する。持続・発展可能なキュレーション体制には、対象となる地質研究資産の状態の把握が必要であり、標本と既存の紙資料の紐付けの他、科学的エビデンスに基づいた特徴付けが欠かせない。また、もっとも重要な点がコードの体系化であって、拡張性と柔軟性を考慮しながら、現実的な1つのシステムとしてキュレーション運用のために必要なコード体系を実際の「有形物」とそれに紐付くデータを利用することで、最良のコードとその形式を準備する。
本研究では「有形物」の地質研究資産として、富山大学で保管管理されてきた飛騨変成帯の掘削試料コレクション(岩石標本が主)と、スタンフォード大学から東北大学に一部移設が完了したフランシスカン変成帯コレクション(紙資料と岩石標本)を用いる。分光分析も利用した状態の把握を進めながら、地質研究資産の持続的な保護だけでなく、新たな研究成果を生み出すために発展可能なキュレーション体制の構築を多角的に模索する。本研究は「東北アジアにおける地質連続性と「石」文化共通性に関する学際研究ユニット(代表:辻森)」に関連するだけでなく、それに関連して発展してきた国際的・学際共同研究を支える基礎的な「有形物」のキュレーション体制を自ら整備しようとする意図があり、多元的な文理連携の国際・国内共同研究の展開と、東北アジア研究センターの役割とその独創的な機能をより幅広く発信可能にすることを目指す。

2020年度~2020年度

氏名 | 所属 |
辻森 樹 | 東北アジア研究センター |
原田 浩伸 | 東北大学理学研究科 |
岡 紘希 | 東北大学理学部 |
椚座 圭太郎 | 富山大学 |
板谷 徹丸 | NPO法人地球年代学ネットワーク |
ソレンセン ラシ | デンマーク国立博物館 |
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